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外科05.骨粗しょう症
 骨粗しょう症(骨粗鬆症)とは、骨の量が減って骨がスカスカになって弱くなり骨折しやすくなる病気です。しかも、骨全体が弱まって骨折してしまうため、折れてしまった骨が元に戻るまでに時間がかかるようになってしまっています。また、お年寄りは骨折が原因で寝込んでしまうと、たとえ骨折が治ってもそのまま寝たきりになってしまうことが多い。近年寿命が延び、高齢者人口が増えてきたため、このことが特に問題になってきています。
 わが国の骨粗しょう症の患者さんは、女性が約800万人、男性が約200万人、合計1000万人と推定されています。これは、高齢化社会に伴ないさらに増加していく傾向にあります。
 女性は、ホルモンのバランスが大きく変化する閉経後、骨の量が急激に減るため、骨粗しょう症になる人の割合が高くなります。
 男性は、女性に比べると、骨粗しょう症になる人の割合は低いですが、加齢と共に腸管からのカルシウム吸収が低下するため、70歳を過ぎると骨粗しょう症になる人の割合が高くなります。

■ 骨の働き
 骨の働きには、次の4つがあります。
1.体を支える・・・立った状態や座った状態などにおいて、体重を支え、姿勢を保ちます
2.臓器を守る・・・脳や心臓、肺など、やわらかい臓器を囲んで外部の衝撃から守ります
3.カルシウムを蓄える・・・体に必要な栄養素であるカルシウムを蓄えます。全身のカルシウムの99%は骨に存在しており、血液中や細胞内のカルシウムが不足すると、少しずつ骨から溶け出します
4.血液を作る・・・骨には「骨髄(こつずい)」と呼ばれる部位があり、そこで赤血球、白血球、血小板などがつくられます

■ 海綿骨が影響を受けやすい
骨は「皮質骨(ひしつこつ)または緻密骨(ちみつこつ)」と「海綿骨(かいめんこつ)」という2種類の骨から成り立っています。腕や下肢などの長い骨は厚い皮質骨で覆われています。皮質骨はセメントを塗り塗り重ねたような層状構造をもつため衝撃に強く、カルシウムが少々減っても強度が保たれます。一方、背骨などは海綿骨の割合が高い。海綿骨は複雑にからみあったジャングルジムのような網目構造をしていますが、カルシウムの量が減るとあちこちでこのジャングルジムの「棒」(骨梁:こつりょうといいます)がなくなって、この網目構造がくずれてしまうため、カルシウムが減るとすぐに強度が弱くなります。すなわち骨の構造から見ると、皮質骨よりも海綿骨で骨の量の減少が強度に影響しやすいといえます。

■ 骨のリモデリング
 皮膚や腸管上皮と同じように、骨も新陳代謝を繰り返しています。古い骨を壊し、新しい骨を作るというサイクルを繰り返し、骨のしなやかさや強さを保っています。これを骨のリモデリング(再構築)と呼びます。
 ここで重要な働きをしているのが、「破骨細胞(はこつさいぼう)」と「骨芽細胞(こつがさいぼう)」です。破骨細胞は古くなった骨を溶かしていく(骨吸収:こつきゅうしゅう)働きをします。骨芽細胞は破骨細胞によって溶かされた部分に新しい骨を作り修復する(骨形成:こつけいせい)働きをします。リモデリングにかかわる「破骨細胞」と「骨芽細胞」のそれぞれどちらの働きがより活発になるかによって、骨が減る方向に進むか、増える方向に進むかが決まります。

■ 骨に働くホルモン
性ホルモン(男性ホルモン・女性ホルモン) 第二次性徴以降に分泌され、骨の成長・成熟に重要な働きをする。女性では閉経後、女性ホルモンの分泌が急激に低下するため、骨量が減少しやすい。
副甲状腺ホルモン 大量では骨の破壊を促進する
カルシトニン 骨の破壊を抑える
ビタミンD 食物から吸収されるほかに、日光浴によって体内で合成され、腸でのカルシウム吸収を促進する

■ 多くの原因が複雑に関係
加齢 性ホルモン産生の低下のほかに、年をとると骨芽細胞(骨をつくる細胞)の働きが弱くなります。また、腎臓の働きも低下するため活性型ビタミンDがつくられにくくなったり、食事の量が少なくなったりするため、カルシウムの吸収量が低下します。
カルシウム摂取量が少ない・偏食 乳製品をとっていなかったり、偏食して栄養バランスが偏ったりすると、食物からカルシウムなどが十分にとれなくなります。
閉経 閉経に伴って女性ホルモンが急激に低下すると、破骨細胞(骨を壊す細胞)の働きに骨芽細胞の働きが追いつかなくなります。
運動不足 適度な運動で骨に刺激を与えると骨は丈夫になります。反対に、運動しなくなると骨はだんだん弱くなっていきます。
日光に当たらない生活 日光に当たると、皮下でビタミンDが合成されます。ビタミンDは腸からカルシウムを吸収するために必要な物質です。
喫煙 ニコチンは、腸からのカルシウムの吸収を阻害し、カルシウムを尿中に排出します。また骨芽細胞の機能低下も引き起こします。
嗜好品のとり過ぎ コーヒーなどに含まれるカフェインのとり過ぎや、過度の飲酒は骨量の減少につながります。
極端なダイエット 食事を極端に減らすダイエットは、栄養不足、特にカルシウム不足の原因になり、骨量の減少を招きます。

 骨粗しょう症の種類は、大きく二つのタイプに分けられます。
1.原発性骨粗しょう症:原因がわかっていない骨粗しょう症
なかでも圧倒的に多いのは、閉経を迎えた50代から70代までの女性に多い閉経後骨粗しょう症、70歳以降の男女の高齢者に見られる老人性骨粗しょう症です。
2.続発性骨粗しょう症:原因がわかっている骨粗しょう症
原因としては、(1)ステロイド製剤の服用(2)胃切除 (3)各種内分泌疾患 など数多くのものが知られています。

■ 初期
無症状・・・骨粗しょう症の初期には自覚症状は全くありません。

■ 進行期
○ 疼痛(腰背部痛)・・・痛みの種類として、安静時の痛み〜不快感、前屈時痛、起坐位時の痛み、歩行時の痛み、寝返り時の痛みがあります。痛みが先行して変形が後から認められることもあります。
○ 骨折・・・骨折しやすい部位として、
1.大腿骨頸部(高齢者では転んだ時にとっさに手をつけないため、膝をついたり、しりもちをついたりして、この部分が折れてしまいます。そのまま寝たきりになることが多い。そこで手術して早期のリハビリを行います)
2.脊椎(変形や圧迫骨折を起こします)
3.橈骨遠位端(手をついて倒れて骨折)
4.上腕骨頸部(転んで肘などをついたときにおきる骨折)
5.肋骨(咳をして折れることがあります)
などがあります。
○ 脊椎変形に伴う症状
1.前傾姿勢になるため体のバランスが不安定となり転倒する頻度が高まります。
2.腹部内臓圧迫による食欲減退・消化不良。
3.食べたものが喉につかえる。胸焼けする(逆流性食道炎)。
4.急に起き上がれない。
5.長距離歩行が困難。
6.上を向いて安眠できない。
7.身長低下し腰が曲がってしまうため心理的にも行動範囲が狭まります。

■ 整形外科、内科、産婦人科で
 骨粗鬆症の患者さんは、腰や背中の痛みから受診されることが多く、整形外科で診断・治療を受けることが多いのですが、最近は、カルシウムバランスや更年期障害の治療も含めて内科や婦人科などでも診断・治療を受けることが珍しくありません。

■ 検査内容
○ 胸・腰椎のX線撮影
椎体骨折の判定
腰背部痛、低骨密度や円背、椎体変形・骨折をきたす疾患との鑑別診断
などに使用しています。
○ 骨密度測定法の種類と特徴
MD法 第二中手骨(人さし指) エックス線写真をとり、その濃度をアルミのスケールと比較して骨塩量を測定する。 検査が短時間で済むので、多数例のスクリーニングに適している。
腰椎DXA法 腰椎 腰部に2種類のエックス線をあて、腰椎の骨密度を測定する。 骨量測定の標準方法である。 脂肪などの軟部組織の影響を除外できる。
QCT法 エックス線によるコンピュータ断層撮影法 単位面積あたりの真の骨密度をえることができる(r/p2)。
QUS法 踵骨(かかと) 足を水の中につけて超音波を当て、かかとの骨の状態を測定する。 超音波を使った測定法なので、妊婦の測定も可能
○ 血液検査
他の病気が原因になっておこる骨粗鬆症(続発性骨粗鬆症)を見分けるためにカルシウムやリンを測定する。骨の代謝状態を読み取れる「骨代謝マーカー」を測定したりもする。
○ 尿検査
尿中のカルシウムや「骨代謝マーカー」(骨の代謝状態を読み取れる)を測定する。

 背骨のエックス線写真と骨密度の2つの検査を行います。その結果、圧迫骨折があれば、それだけで骨粗しょう症と診断されます。圧迫骨折がなくても、骨密度が低い場合も骨粗しょう症と診断されます。(日本骨代謝学会診断基準)

 まずは、自分がどのような段階にあるのかを知ることから始めましょう。
 すでに、骨粗しょう症になってしまっている方は、食事療法・運動療法・薬物療法の3点で治療を行ないます。
 まだ骨粗しょう症になっていない方は、食事療法・運動療法を心掛けることによって骨粗しょう症の予防をすることができます。
■ 食事
 日常生活における、骨粗しょう症予防のための食事療法の基本的な考え方はカルシウムを十分に摂取することです。 日本人は慢性的なカルシウム不足だと言われています。日本人の更年期、老年期の骨密度減少を抑制するためには最低でも、800r/日以上のカルシウム摂取でようやくカルシウム出納がマイナスにならないことがわかっています。また、カルシウムの腸からの吸収をよくするビタミンDの多い食品を組み合わせることも大切です。
 スナック菓子、インスタント食品、炭酸飲料にはリンが多く含まれています。リンは体に必要な栄養素ですが、とりすぎるとカルシウムの尿中への排出を促進し、またカルシウムの腸からの吸収を妨げるので、これらの食品はとりすぎに注意しましょう。
■ 運動
 運動習慣を身につけ、適度に骨に負荷をかけてあげることが、骨密度を保ち骨折を予防するのに役立ちます。負荷をかけないで安静にばかりしていると骨密度はかえって減少します。宇宙飛行士は無重力に近い状態にいるため体重が骨にかからず、意識して運動をしないでいると、短期間で骨の量が飛行前より低下したというデータがあります。
 また、運動によって筋力が維持され、反射神経もよくなるので、転びにくくなるとも考えられます。
■ 日光浴
 屋外に出て日光に当たることで皮膚から体内へのビタミンD産生を促すことができます。
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【予防のための食生活の工夫】
1.一日三度の食事を欠かさない
 必須栄養素を充足するためにも三度の食事は大切です。
2.無謀なダイエットはしない
 やせすぎると骨量も低下します。
3.牛乳、チーズ、ヨーグルト、豆腐から一日二品は食べる
 800r/日を摂るためには、これらの食品は必須です。
4.スキムミルクの利用
 スキムミルクは効率よくカルシウムを摂取できる食品です。上手に利用しましょう。
5.ほうれん草より小松菜やチンゲン菜を
 ほうれん草には、カルシウム吸収を阻害する働きがあります。
6.酢で魚などの骨を柔らかく
 魚などの骨は酢で調理すると柔らかくなり、また吸収率も高まります。
7.嗜好品の取りすぎには要注意
 タバコ、コーヒーなどの嗜好品の取りすぎは要注意です。
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 しかし、骨密度が大幅に減少している人は、このような生活改善だけで骨密度を増やそうというのは無理があります。
 そこで、少しでも効果を高めるため、これらの生活改善と並行して薬による治療も行ないます。
■ 薬物療法
 以下の製剤を組み合わせます。
カルシウム製剤 乳製品が苦手なお年寄りなど、食事からのカルシウム補給が十分でない場合。
ビタミンD3 カルシウムの吸収を増加させ、新しい骨を作るのを助けます。ビタミンDの摂取量が低下している場合や、老化などにより産生が低下している場合、またカルシウムの摂取量が少ない場合に用います。胃部不快感、吐き気などの胃腸の調子をおかしくすることがあります。
カルシトニン 骨密度の減少を抑えて、背骨や腰の痛みを和らげます。 注射薬しかありません。注射した後すぐに、顔のほてり、めまい、吐き気が起こることがあります。
エストロゲン 骨密度を増加させます。女性ホルモンの分泌が減少する閉経期の女性が対象となります。更年期に起こるほてり感などの症状にも効きめがあります。 性器出血が見られることがあります。また、乳癌になる可能性が若干高くなるとされています。
イプリフラボン 骨密度の減少を抑えます。カルシトニンの分泌を盛んにするほか、新しい骨を作るのを助けます。 胃部不快感、吐き気などの胃腸の調子をおかしくすることがあります。
ビタミンK2 骨密度の減少を抑えて、新しい骨を作るのを助けます。
胃部不快感、吐き気などの胃腸の調子をおかしくすることがあります。
ビスフォスフォネート 破骨細胞の働きを強く抑えて骨密度を増加させ、背骨の変形を起こしにくくします。 胃部不快感、吐き気などの胃腸の調子をおかしくすることがあります。

■ 牛乳が飲めません。どうしたらいいですか?
牛乳・乳製品は効率的なカルシウムの摂取ができる非常に大切な食品です。これらなしに、毎日不足なくカルシウムをとることは難しいとさえいえるでしょう。
 においが嫌いで飲めない方は、牛乳をよく冷やすか熱くして飲んでみましょう(人肌くらいの温度では一番においがきつくなる)。コーヒー、ココアなどを加えて飲んだり、料理に使うなどして取り入れてみましょう。牛乳にスキムミルクを溶かして濃くしたものを飲めば、カルシウムも増量できます。
 牛乳で下痢をしてしまう方は、牛乳に含まれている乳糖を分解する酵素を持っていない(乳糖不耐症)ためにおこります。少量ずつあたためて飲んでみたり、料理に入れてみるなどトライしてみましょう。どうしても牛乳がだめならヨーグルトやチーズをとってください。また、乳糖を分解した牛乳も市販されています。
 アレルギーなどで飲めない方は主治医と相談しましょう。牛乳のかわりに大豆製品、小魚などを積極的にとるようにしましょう。

■ 骨粗しょう症の予備軍とは?
 骨粗しょう症の予備軍とは、骨粗しょう症になる危険性の高い方のことを指します。では、どのような方なのでしょうか?
 骨密度が低い方(若年女性平均骨量(YAM)の70〜80%)はもちろん、最大骨密度の低い閉経前の女性、閉経周辺期に急速な骨減少を生じている女性などがあげられます。
 また、骨粗しょう症の危険因子を有する方は、骨量測定値が若年女性の平均骨量(YAM)の90%以上である場合でも、将来の骨量減少に備えた心構えが必要になってきます。

■ 妊娠すると骨が減るのですか?
 妊娠中は、女性ホルモンの影響で腸からのカルシウム吸収が増加しますので、むしろ骨を増やすチャンスなのです。ただ母体のカルシウムは大量に胎児に移行しますので、この時期のカルシウム所要量は1日900mgとされています。
 反対に産後は女性ホルモンが急に低下するためと、母乳に大量のカルシウムが出ていくために、骨量の低下を招きやすくなります。産後(授乳期)のカルシウム所要量は1日に1,000mgとされていますので、つとめてカルシウムをとるようにしましょう。

■ カルシウムの取りすぎはよくないか?
 カルシウムを一度にたくさんとったとしても腸での吸収が低下したり、過剰に吸収された分は尿に排泄されたりして、血中のカルシウムが増加することを防ぐシステムが体には備わっています。一日摂取量は最大2,500mgまでとされていますが、普通の食事ではこれほどのカルシウムをとることはあまりないと思われますので、「足りないよりは多めに」とるように心がけましょう。カルシウムは一時的に大量に摂取してもあまり意味がありませんので、継続してとりつづけることが必要です。
 また、カルシウム製剤などでカルシウムをとる場合にも1日2,500mg(許容上限摂取量)までであれば問題はないと思われますが、尿路(腎臓や尿管)結石の既往歴のある方は念のため主治医と相談してください。

■ ダイエットはほんとに骨に悪いの?
 痩せて綺麗に見せたいというのは、多くの女性の願望でしょう。しかし、最近の若い女性に多い無謀なダイエットは要注意です。
 10代は、骨をどんどん作っていかなければならない時期。また20〜40代は一生で骨量が一番多くなり、それを減らさないように維持しなければならない時期です。その時期に、骨に必要なカルシウムが十分摂取できないばかりか、極端なダイエットのせいで生理が止まり、ホルモンのバランスを崩すようなことがあれば、若くても骨粗しょう症や骨粗しょう症予備軍になる危険性が高まります。
 外見は綺麗に痩せても、内側の骨がボロボロでは「真の綺麗」とはいえません。健康的な美を求めて極端なダイエットは控えましょう。


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