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内科07.糖尿病
 糖尿病とは血糖値を下げるために必要なインスリンが少ない、またはインスリンの働きが不十分なことにより、血糖値を下げることができなくなった病気です。具体的には空腹時血糖値が126r/dl以上、食後の血糖値が200r/dl以上になった場合に糖尿病と診断されます。血糖値が正常といわれるのは空腹時血糖値が110r/dl未満の人です。空腹時血糖値が110r/dl以上126r/dl未満の人は境界型かもうすでに糖尿病なっている疑いがあります。それを確定させるためにはブドウ糖負荷試験という精密検査が必要になります。

(注※)空腹時血糖値とは前日の晩ごはんから10時間以上何も口にせず翌朝に測定した値のこと。食後の血糖値は食後2時間以内が良い。
 当の本人に全く症状がないためかかっていると気づかないで、そのまま日々生活している人が多いのです。いつ自分が糖尿病だと気づくかというと、発症してから数年たって起こる合併症によって気づくということが多いようです。
 平成9年の糖尿病実態調査によると、「糖尿病が強く疑われる人」の690万人と「糖尿病の可能性を否定できない人」の680万人を合わせると、全国に1,370万人いると推定されているんだ。でも、糖尿病で治療を受けている人は約212万人(平成11年患者調査による総患者数)しかいない。
 糖尿病になって一番恐ろしいのは糖尿病による合併症です。糖尿病になり治療もせずにそのまま放置しておくと、間違いなく合併症は起こります。糖尿病自体にあまり自覚症状がないため自分は大丈夫だと思い、治療を怠ってしまいがちになるのもこの病気の恐ろしいところです。治療をしなければ合併症により重度の神経障害や失明したり腎不全になることは避けられません。糖尿病で死亡する人は 年間で1万人くらい(平成12年人口動態統計)いるます。合併症として糖尿病による腎臓障害で人工透析を始める人は、年間1万人以上もいるし、糖尿病が原因の視覚障害の発生も年間約3,000人もいます。
 糖尿病はそのものは不治の病ですが、糖尿病合併症は早期に適切な治療を受ければ予防したり、治したりすることができるのです。

1型糖尿病
特徴
・すい臓からインスリンがまったく分泌されないため、インスリン治療が必要。薬での治療は効果がない。
・のどが渇く、疲れがひどい、頻尿があるなどの体調不良のあと発病する。
・糖尿病患者全体の5%以下で、多数ではない。
・15歳以下の子供、特に思春期の時期に多くみられる。男女の比率は関係ない。
2型糖尿病
特徴
・糖尿病患者全体の80%以上で、圧倒的に多い。
・すい臓からインスリンは分泌されるが、その量や働きが不十分である。
・40歳以上の成人に多いが、最近は肥満により子供の発症も増加している。(小児糖尿病)
・1:0.7の割合で男性の発症がやや多い。
・治療は糖尿病の進行状況にもよるが、運動療法・食事療法が主体。血糖値を下げるために薬の服用やインスリン不足が深刻になるとインスリン治療も行う。

■ 血糖値を一定に保つメカニズム
 血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度を表した数値のことです。ブドウ糖はごはんやパンなどの炭水化物に含まれています。それらを食べると体内の消化酵素の働きにより炭水化物がブドウ糖に分解され、小腸から吸収されます。そしてブドウ糖は肝臓に送られその後心臓を通って全身の血管へ供給されます。
 しかし、それだけでは血糖値が上がりすぎて困ることがありますので、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが血糖値を下げるためにあります。血糖値を下げることができるホルモンは唯一インスリンだけなのです。
 インスリンは、主に脳細胞や筋肉細胞、肝細胞の中に取り込まれるのを助けます。血糖値が上昇するとそれを感知してすい臓からインスリンが分泌されます。こうして血糖値は下がります。 細胞に移行されたブドウ糖はグリコーゲンという物質に変えられて貯蔵されます。このグリコーゲンは血糖が下がるとまたブドウ糖に戻され、血液中に放出され血糖値を上げます。こうして血糖値はバランスを保っています。これを恒常性(ホメオスタートス)といいます。

■ 原因
 1型糖尿病は、現在のところはっきりした原因は不明ですが、ウイルス感染が原因で発症するケースもあります。日ごろの食生活、運動などの生活習慣、両親のどちらから病気を受け継ぐ遺伝とは関係なく発症するため、予防することはできません。
 2型糖尿病の大きな原因はなんといっても長年にわたる不摂生です。具体的には暴飲・暴食(特に糖分の多いもの)、運動不足などによる肥満です。一般的に肥満の人は血糖値を下げるためにすい臓から大量のインスリンを分泌し続けなければなりません。そうするとだんだんすい臓が疲弊して、血糖値を下げるだけのインスリンを分泌できなくなります。十分なインスリンが分泌されないということは血糖値を下げることができなくなり、糖尿病になってしまうのです。
 また、日本人は欧米人と比べてすい臓が弱いため、糖尿病にかかりやすいこともわかっています。肥満の割合は欧米人の方が高いにも関わらず、糖尿病の発症率は日本人の方が高くなっています。そうしたことも日本人(アジア人全般)のすい臓が弱いことが原因なのです。
 肥満のほかにも2型糖尿病は1型糖尿病とは異なり、遺伝が関係します。両親共に糖尿病の場合では75%以上の確率、片方が糖尿病の場合では25%以上の確率で発症します。両親とも糖尿病でなくても発症することもあります。
 糖尿病合併症は『神経』『目』『腎臓』の3つの臓器に発症します。
いくら高血糖でも1〜2年の短期間では合併症は起こりません。5-6年で変化が始まり、10〜15年の長期間、高血糖が続いた後に発症します。
 糖尿病そのものとは違い合併症は適切な時期に適切な治療を行えば治ります。
『神経』・・糖尿病神経障害
合併症の中で最も早く出てくるのがこれです。中心となる末梢神経障害の足や手の症状の出かたはさまざまで、手足のしびれ、けがややけどの痛みに気づかないなどです。そのほか筋肉の萎縮、筋力の低下や胃腸の不調、立ちくらみ、発汗異常、インポテンツなど、さまざまな自律神経障害の症状も現れます。
『目』・・糖尿病網膜症
目の底にある網膜という部分の血管が悪くなり、視力が弱まります。中には失明する場合もあります。また、白内障になる人も多いといわれています。
『腎臓』・・糖尿病腎症
おしっこを作る腎臓の、糸球体という部分の毛細血管が悪くなり、だんだんにおしっこが作れなくなります。すると人工透析といって、機械で血液の不要な成分をろ過して、機械でおしっこを作らなければなりません。週に2〜3回、病院などで透析を受けるようになるので、日常生活に大きな影響を及ぼします。現在、人工透析になる原因の1位がこの糖尿病腎症です。

なぜ合併症は起こるのか?
 糖尿病合併症は『神経』『腎臓』『目』の3つの臓器に発症しますが、これらの臓器には1つの共通点があり、それは非常に細かい血管が密集した臓器であるということです。血糖値が高いとこの非常に細かい血管が切れたり詰まったりして臓器の機能が障害されることになるのです。
 直接ブドウ糖が血管を攻撃するわけではありません。いくつかの有害な要素が複雑に絡み合い、血管の中に蓄積されていき、最終的にそれがが直接の原因となり合併症を引き起こすのです。
 有害な要素とはタンパク質と糖が結びついたAGE、高血糖によりブドウ糖から作られるポリオールの蓄積、高血糖によるプロテインキナーゼという特殊なタンパク質の活性化、有害な活性酸素の増加などがあげられる。この中でもAGEが合併症を引き起こす1番の悪者なのです。

ブドウ糖負荷試験
 測定した血糖値がやや高い(110r/dl以上126r/dl未満)の場合、境界型か糖尿病かにわかれますがこれをはっきりさせるためにブドウ糖負荷試験という精密検査が必要になります。GTT(glucose tolerance test)という略語を使う場合もあります。また、尿糖が見つかった場合や血縁者にいる場合などにも行われることがあります。
 検査の方法はいたって簡単です。前日の夜9時以降は絶食し翌朝病院へ行きます。空腹時に採血をした後、ブドウ糖75gの入った検査用の液を飲んで、30分後、60分後、120分後に採血をするだけです。検査は血糖値だけでなくインスリン値も調べてもらったほうがいいでしょう。
 この検査での判定基準は以下の通りです。
  空腹時血糖値 20分後血糖値 判定
正常型 110r/dl未満 140r/dl未満 両方を満たせば正常型
境界型 糖尿病型にも正常型にも属さない
糖尿病型 126r/dl以上 200r/dl以上 片方を満たせば糖尿病型
 このブドウ糖負荷試験(GTT)を受けるにあたり重要な注意点があります。空腹時血糖値が150r/dl、食後の血糖値が250以上になったことがある人はこのブドウ糖負荷試験は受けないようにして下さい。
 検査において大量の糖(ブドウ糖負荷試験の検査液)をとることにより血糖値が極端に上がり、危険なのです。極端な高血糖(血糖値が800r/dl以上)になってしまい、意識不明の昏睡状態になる例も珍しくないといいます。
 あくまでブドウ糖負荷試験は境界型か糖尿病型かをはっきりさせるための検査だということを覚えておいてください。
ヘモグロビンA1c値
 糖尿病の治療において重要なのは、空腹時や食後などの一時的な血糖値ではなく、1〜2ヶ月の平均的な血糖値がどんな状態だったかを表すヘモグロビンA1c値なのです。現在、全世界的に糖尿病の血糖コントロール状態はヘモグロビンA1cで評価されています。
 ヘモグロビンとは血液中の酸素を運搬する役目をもつ赤血球の中に大量に存在するタンパク質のことです。そのヘモグロビンとブドウ糖が血管内で結合し、グリコヘモグロビンというものになります。ヘモグロビンA1cはグリコヘモグロビンの1種です。
 ヘモグロビンA1c値とはそのヘモグロビン全体の中にヘモグロビンA1cが何%含まれているかを調べた値です。血液中の糖分が多くなれば当然ヘモグロビンA1c値も上昇します。この数値は1〜2ヶ月間の血糖値の平均的推移を反映していますので、糖尿病の状態を把握するのに理想的な数値といえます。
 ヘモグロビンA1cの正常値は4.3〜5.8%、5.6%以上なら境界型か糖尿病、6.1%以上になると糖尿病である可能性が高いといえます。
尿アルブミン値
 糖尿病合併症である糖尿病腎症の進行具合を調べるのに適した値です。尿中のアルブミン量を測定することにより腎臓の悪化がどの程度なのかがわかります。  アルブミンとは血液中にたくさんある重要なタンパク質のことで、通常は尿に漏れ出ることはありません。しかし腎臓の障害が悪化すると少しずつ尿中に漏れ出る量が増加します。
血清クレアチニン値
 血清クレアチニン値は合併症の進行状況を調べるための血液検査です。この値が高いと合併症はかなり進んでいるといえます。

■ 食事
1.野菜はたっぷりとろう
野菜に含まれる食物繊維は、肥満を防ぐ働きをします。健康日本21では、国民の健康づくりのために野菜を1日に350g以上とり、このうち緑黄色野菜を120g以上とることを目標としています。
2.甘いものや脂っぽいものは食べ過ぎない
甘いものや脂っぽいものは太りやすい食品です。食べ過ぎに気をつけましょう。
3.薄味にしよう
濃い味のおかずはごはんをたくさん食べてしまいがちです。素材の味をいかした薄味料理を。
4.多いときは残そう
多いと感じたら、無理せずに残しましょう。
5.調味料はかけずにつける
マヨネーズやドレッシングは、油が多く、太りやすい食品。お醤油などの塩分は、高血圧の原因になり、糖尿病を悪化させます。直接料理にかけず、小皿にとってつけましょう。
6.食事は決まった時間に、時間をかけて食べよう
朝食を抜いたり、食事時間が不規則だったり、寝る前3時間の間に食べるのはよくありません。ゆっくりよくかんで、一家団らん、会話を楽しみながら、時間をかけて食べましょう。
7.ひとり分ずつ、取り分けて食べよう
大勢で大皿から食べると、どのくらい食べたかわかりづらいため、たくさん食べてしまいがちです。
8.ながら食いはやめよう
テレビを見ながら、新聞を読みながらといったながら食いも、食べた量がわかりづらいもの。またよく味わえないため、満足感もありません。
9.お茶碗は小ぶりのものを
お茶碗を小さくすると、1膳の量が少なくなるため、食べ過ぎを防げます。
10.食品のエネルギーを知ろう
毎日食べるものがどのくらいのエネルギーなのかを知り、食品を選ぶときや食べるときの参考にしましょう。
■ 運動
1.外出するとき、少しだけ早めに歩く
2.遠回りして歩く距離を増やす
3.買い物は歩いて、買いだめをせずこまめに行く
4.3階までなら階段を使う
5.1日1万歩を目標に歩く
6.週に1度くらいは、隣の駅まで歩いてみる
7.周囲の風景などを楽しみ、観察しながら歩く
8.テレビを見ながら、ストレッチをする
9.泳げなくても、水中を歩く

■ 食事療法
1日に食べる量は、お医者さんから指示を受けますが、目安としては、次のとおりです。
 総エネルギー量 = 標準体重 × 仕事別消費カロリー
 (標準体重1kgあたり)

事務職、主婦 25〜30kcal
中程度の労働に携わる人
(製造・販売業、自営業の主婦など)
30〜35kcal
重労働に携わる人
(農・漁業、建築業など)
35kcal
エネルギー量の計算は、80kcalを1単位として計算する方法が簡単で、一般的です。「糖尿病食事療法のための食品交換表」(文光堂)に、詳しい方法が紹介されています。

■ 運動療法
●ひとりでできる運動を選び、毎日同じだけ行う
毎日のことなので、場所を選ばず、いつでもどこでもできる運動を選びましょう。もし毎日が無理でも、2日に1日は行います。
●ウォームアップとクールダウンを
運動は1日30分が目安で、朝晩2回に分けてもかまいません。運動を行うときは、ゆっくりスピードを上げて(ウォームアップ)、終了時はゆっくりスピードを下げていきます(クールダウン)。ウォーキングにする場合、1回15分〜20分を目安にして、1日1万歩を目安にしてもいいでしょう。
●運動の強さは、きつすぎず、楽すぎず
「少し汗ばみ、隣の人とラクに会話ができる程度」が運動の強さの目安です。運動の後、とても疲れてしまうようなら、セーブしましょう。
●食後1〜2時間後に行う
こうすると、食後の血糖上昇が抑えられます。
●運動日誌をつける
運動習慣を身につけるためと、運動によって体調が悪くなることを防ぐために、最初は日誌をつけましょう。

■ 糖尿病の薬
 主な薬物療法は、血糖を下げるための血糖降下薬という飲み薬と、インスリンがほとんど分泌されない人や不足の人のためのインスリン注射だね。インスリン療法が必要になるのは、まず、1型糖尿病の人。1型だと、体内でインスリンを作れないから、必ずインスリン注射が必要になります。それ以外の型でも、食事療法や運動療法を続けても効果が現れない場合薬物療法を行います。

■ 妊娠糖尿病
 妊娠するとインスリンの働きを抑えるホルモンが分泌されたり、すい臓に負担がかかるため、糖尿病にかかる場合があります。こうして妊娠時にはじめて糖尿病と診断されるのが妊娠糖尿病です。家族や親戚に糖尿病患者がいれば特に注意したほうがいいでしょう。また、妊娠糖尿病は出産後に治るケースが多い。
 一方、妊娠前から糖尿病でありその人が妊娠した場合は糖尿病合併妊娠と呼ばれます。糖尿病だと気付かずに任する場合も多いのが現状です。
 これら糖尿病のある妊娠では妊婦だけでなくこどもにも重大な問題が起こる可能性が高いのです。重大な問題とは具体的には以下のようになります。
妊婦への問題
・妊娠中毒症になりやすい。
・流産、早産の可能性が高い。
・巨大児になるため出産が困難になる。
・目や腎臓の合併症が悪化してしまう。
こどもへの問題
・奇形になってしまう。
・出産時に4kgをこえる巨大児になる。
・生まれた後すぐに低血糖や呼吸困難になる。
・成長してからの肥満の可能性が高い。
・発育不全になってしまう。
妊娠糖尿病の予防と対策
 糖尿病のまま妊娠することは母体・胎児ともに非常に危険なため、妊娠・出産を考えているのであれば事前に調べるのが1番の得策だといえます。妊娠糖尿病(妊娠後に糖尿病になる)の場合は仕方ありませんが、糖尿病合併妊娠(妊娠前から糖尿病)の場合は事前に病院へ行き、血糖値を調べるだけでいいのです。空腹時血糖値が110r/dl以下なら正常、110r/dl以上126r/dl未満は境界型か糖尿病、126r/dl以上なら糖尿病です。
 それでは妊娠前に糖尿病が発覚すれば妊娠・出産することは困難なのか?そんなことはありません。事前にしっかり血糖値をコントロールしておけば母体への合併症や胎児の奇形などの心配はありません。安心して出産することができるのです。
 妊娠中の糖尿病の治療についてですが、母体と胎児への副作用が少ないインスリン治療が必要になります。インスリン治療とはインスリンを体外から直接補給するので確実に血糖値は下がります。また副作用といってもインスリンの量が多いために起こる低血糖ぐらいのものです。低血糖になったとしても糖分を少し補給すればすぐに解消できます。
■ 小児糖尿病
 小児糖尿病とは読んで字のごとく子供の糖尿病のことです。現代社会においてこの小児糖尿病(2型糖尿病)が急増しているのです。(2型糖尿病は糖尿病の種類・原因を参照)もう糖尿病は成人だけがかかる病気とは到底言えなくなっています。これは大変重大な問題で、前述したとおり糖尿病は不治の病であるがために治療は一生涯続くことになるのです。小児糖尿病もその例外ではありません。合併症の危険度も成人が糖尿病になる場合と変わりません。
 型の小児糖尿病の特徴としては子供の年齢が上がるほど、その数は増加することです。8歳ぐらいまでの小児糖尿病はほとんどのケースが1型糖尿病です。しかし、10歳を過ぎた頃から徐々に2型糖尿病が増加し、中学・高校生ぐらいで2型糖尿病の患者が1型糖尿病の患者数を上回ってきます。それ以降は増加する一方です。
 またそのほかに2型の小児糖尿病患者の特徴として、治療を途中でやめてしまう傾向にあるとうことです。なぜ途中で治療をやめてしまうのか?2型糖尿病は1型糖尿病のようにインスリン治療を続けなくてはならないという危機感がなく、ダイエットが中心の治療だし、また自覚症状もほとんどないために自分も親も勝手に大丈夫だと思って治療を中断してしまうのです。
 これは大きな間違いです。2型糖尿病も1型糖尿病も糖尿病であることに変わりはなく、どちらも治療をしなければ確実に合併症が進んでしまう恐ろしい病気なのです。2型の小児糖尿病においては小児期・思春期は食欲も旺盛で血糖コントロールが難しく、悪化しやすい時期のために特に治療を中断してはいけない時期だということを忘れてはいけません。治療を中断した代償はかならず後からやってきます。
小児糖尿病の原因と対策
 2型の小児糖尿病になる原因はなんといっても肥満です。幼児期の頃からお菓子やジュースなど糖分の多いものをたくさん口にしたり、それに運動不足が加わると当然肥満になってしまいます。
 子供は親が注意しなければ糖分の多いおいしい食べ物をたくさん食べるのは当然のことです。それではだめなのです。子供は食欲が旺盛なのは当たり前のことで、重要なのは何を食べるかという点なのです。要は好きな食べ物・料理だけではなく、血糖値を上げない食べ物・料理(一般的に血糖値を下げると思われている食材が本当は血糖値を上げたり、またその逆もありますのでどれが本当かしっかり見極める必要があります。)を親が食べさせてあげればいいのです。そして食べた分運動をすればいいのです。そう、一言で言えばダイエットです。しかし、大人でも難しいダイエットなのに成長期の子供のダイエットはかなり難しいといえます。ですので、やはり予防するのが1番の得策だといえます。
 これらのことは子供だけに言えることでは決してありません。大人も全く同じなのです。日ごろの生活が大事なのは言うまでもありません。
■ ペットボトル症候群
 最近、ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)という新しい病気が若い人を中心に起こっています。この病気は肥満した若い人(特に中高生に多い)が清涼飲料水を長期間飲み続けた後に、血糖値800r/dl以上の著しい上昇により意識不明の昏睡状態に陥ってしまうという症状です。またそれ以外にもインスリンの作用不足のため血液中にケトン体という酸性の有害物質が過剰に増えた状態である「ケトーシス」をきたします。ケトーシスは1型糖尿病に特徴的な状態です。
 ペットボトル症候群とは簡単にいえば急性の2型糖尿病のことで、この症状を起こす人がペットボトルに入った清涼飲料水をたくさん飲んでいたことによりペットボトル症候群と名づけられました。
 それではなぜこのような状態になってしまうかというと、原因はもちろん多量の糖です。炭酸飲料、果汁飲料、スポーツドリンクなどの清涼飲料水には糖が多く含まれていて、それを水代わりに毎日飲み続けると血糖値は必然的に上がってしまいます。軽い糖尿病の状態になってくるとのどが渇くという症状により、また清涼飲料水を大量に飲んでしまうという悪循環に陥ってしまい、最後には意識不明の昏睡状態になってしまうという流れです。こうした悪循環は若い人が多いため、ペットボトル症候群は若い人に多く見られる病気なのです。
 このペットボトル症候群を防ぐためにはなんといってもまずは肥満を防ぐことから始まります。そして糖分を取り過ぎない、言わば間違った生活習慣を直せばこんなことにはならないのである。子供は親が油断すればすぐに糖分を取りすぎて太ってしまいます。お子様の健康のためにもぜひ日頃からの注意を怠らないことをお勧めします。

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