宮崎市の内科、外科、消化器科、リハビリテーション科  <<院長の手作りホームページです>>
〒880-0824 宮崎県宮崎市大島町前田310-1 Tel.0985-25-7722 Fax.0985-25-7754 http://ocean-clinic.com
オーシャンクリニック紹介
地図:下北通線と大島通線の交差点
ご挨拶(院長・看護主任・事務主任)
保険証と診察について患者様へのお願い
各種健康診断、人間ドックの案内
内視鏡、消化器科の病気・診療について院長執筆カラム
リハビリテーション
内科系の病気・診療について院長執筆カラム
外科系の病気・診療について院長執筆カラム
東洋医学(鍼灸・漢方)について院長執筆レクチャー
オーシャンクリニック
HOME内科> 16.エイズ
内科16.エイズ
 「HIV」は、「エイズ」を引き起こすウイルスです。5〜10年間の症状のない時期に 免疫の働きが低下していきます。HIVの感染があっても健康な人との平均余命の差がわずかなくらいに治療が進歩しています。HIVの感染が 疑われる場合は、まず検査を受け、感染の有無を確認しましよう。
 「感染しているかもしれない、でも結果を知るのが怖い」と検査を避けていると、 適切な時期に治療を開始できなくなるおそれがあります。

 日本では、HIV感染者とエイズ患者の累積人 数が、2007年末の統計で1万5000人を超 えました。また、07年の1年間に新たに報告され たHIV感染者は1048人と、初めて1000 人を超え、今後も、さらにHIV感染者とエイズ 患者が増加すると推測されています。このような 増加は、多くの人と性交渉をもつ人が増えている ためと考えられています。

 HIVは、感染者やエイズ患者の「血液、精液、 腔分泌液、母乳」に多く含まれており、これらを介して感染が起こりますが、感染経路 には主に次のものがあります。
1.性交渉……HIV感染症・エイズは「性感染症」 の1つとされています。日本では現在、性交渉に よって感染するケースがほとんどです。「性器ク ラミジア感染症、性器ヘルペス」など、ほかの性 感染症に感染していて、性器に炎症や潰瘍がある 場合には、HIVに感染する危険性がより高まり ます。
2.注射針の共用……麻薬や覚醒剤などを回し打ち すると、感染者の血液が注射針に入り、あとで注 射針を使った人に感染することがあります。
3.母子感染……妊娠中や分娩時に感染したり、授 乳によって感染することがありますが、薬物療法、 帝王切開、授乳を避けるなどの予防対策により、 感染率を1%以下に抑えることが可能です。その ため、日本では、母子感染は多くありません。

 なお、HIVは、「せきやくしゃみ」「食器の共 用」「同じ風呂やプールに入る」などの日常生活 で感染することは絶対にありません。ただし、カ ミソリや歯ブラシなど、血液が付着する可能性の あるものは、個人専用のものを用意し、共用を避 けてください。

 HIVは人の体内に入ると、免疫細胞の中で増 殖します。増殖したHIVは、免疫細胞を破壊し て、次々と新たな免疫細胞に侵入し、そこでさら に増殖・破壊を繰り返します。
 HIVに感染すると、次のような経過をたどり ます。
■ 感染初期(急性期)……一時的に症状の出る時期です。
 感染してから約1か月後に、「発熱」「発疹」「のどの痛み」「だるさ」「筋肉痛」といったインフルエンザのような症状が出る場合があります。
 人によってさまざまなで、2〜3週間続 いて、自然に治まります。症状が現れないことも ありますし、症状があってもかぜなどと間違われ やすいため、この時期の症状からHIV感染に気 づくのは難しいといえます。
■ 無症候期……まったく症状のない時期です。
 検査を受けないかぎり、感染を知ることはできません。
 しかし症状はなくても、体内ではHIVが増殖しており、リンパ球が減少して徐々に免疫の働き が低下していきます。人によっては帯状疱疹(体の右か左どちらかに小さな水ぶくれが多くできる)が出ることもあります。
 期間は一般におよそ5〜10年間程度といわれていますが、人によって大きく異なります。 1〜2年以内にエイズを発症する場合や15年たっても、これといった症状が出ない場合もあります。しかし、HTIVに感染すると、症状がなくても人 に感染させる可能性があります。
■ エイズの発症期……免疫細胞の破壊が進み、やがて免疫の働きが著しく低下する時期です。
 弱い病原体から も体を守ることができなくなります。しつこい下痢やひどい寝汗、理由のない急激な体重減少などがおきます。
 免疫力がほとんどなくなっているために、健康な人では問題にならない種類のカビ、原虫、細菌、ウイルスなどによる 日和見(ひよりみ)感染症 や悪性腫瘍、神経障害など、様々な症状を引き起こします。
 免疫の働きが極端に低下し、さまざまな感染症や合併症を発症 した状態をエイズ(後天性免疫不全症候群)といいます。
 感染症や合併症の症状が出て、初めてHI Vに感染していたことを知ることも多い。

■ HIV抗体検査のメリット
 多くの場合、検査を受けなければ、HIV感染 に気づくことはありません。そのため、感染が疑 われる機会があった場合には、積極的に検査を受 けることが大切です。検査を受けることには、次 のようなメリットがあります。
感染していないことがわかった場合……『感染 しているかもしれない』という不安が解消されま す。また、検査をきっかけに、これまでの自分の 行動を振り返り、以後は、感染の危険を伴う行動 を避けるように気をつけることができます。
感染していることがわかった場合……エイズの 発症を抑えるために、適切な時期に適切な治療 を開始することができます。
 また、パートナーヘの感染を防ぐことができます。
 エイズを発症すると、HIVに対する 治療に感染症や合併症の治療が加わります。より 多くの薬を使わなければならず、副作用によって 治療が難しくなることもあれば、感染症や合併症 が重症化して命にかかわることもあります。その ため、エイズを発症する前にHIV感染を発見し、 適切な時期に治療を開始することが重要です。

注意!!
 HIVに感染してから抗体ができるまでには、 個人差がありますが、一般におよそ2か月程度か かるとされます。検査を受ける時期によっては、 感染しているのに、陰性と結果が出てしまう可能 性があります。確実な結果を得るため、感染が疑 われる機会から3か月以上経過してから検査を受 けるようにしてください。

■ 「スクリーニング(ふるいわけ)検査」と「確認検査」があります
 HIVに感染しているかどうかは、「HIV抗 体検査」でわかります。血液中のHIVに対する 抗体の有無を調べ、結果は「陽性」「陰性」で示 されます。検査には、「スクリーニング検査」と「確認検査」 があります。
スクリーニング検査……その日のうちに、2〜3時間で結 果がわかります。抗体の検出感度が高いため、実 際は陰性なのに検査では陽性となる「偽陽性」の 割合が比較的高いという問題点があります。した がってスクリーニング検査の結果が陽性というだけで、感染 が確定したわけではありません。結果が陽性の場 合は、確認検査が行われ、後日、その結果を聞き に行く必要があります。
確認検査……結果が出るまでに1〜2週間かか りますが、確実に感染の有無がわかります。「陽性(感染している)」となった場合は、エイズを発病しないための治療が必要となります。

 HIV抗体検査は、全国の保健所やHIV検 査・相談機関などで、匿名・無料で受けられます。
 また、医療機関でも受けられますが、数千円程 度の自己負担が必要です。カルテの作成のため、 名前や住所などを聞かれますが、個人情報は守ら れます。

注意!!
 献血された血液については、輸血される方の安全のために、さまざまなチェックを行います。 しかし、HIV感染初期の方が献血された場合は、現在の技術水準でも完全にチェックすることはできず、すり抜けてしまう可能性がゼロではありません。 また、献血者ご本人へはHIV感染は通知されません。
 輸血される方の安全の第一に考え、HIV検査目的の献血は、絶対にやめましょう。

 近年、「HIV」の増殖を抑えるさまざまな薬が開発され、 効果をあげています。現在では、早めに発見して治療を行えば、何十年間も 普通の生活を送ることが可能な病気となりました。

■ 健康な人の平均余命に近づく
 以前、治療薬の種類が少なかったころは、HI Vの増殖を十分に抑えることができず、「エイズ’ の発症を防いだり、合併症の進行を抑制すること は困難でした。そのため、エイズを発症した場合 の平均余命は2年程度と、かなり短いものでした。  10年ほど前からは薬の種類が増え、3種類の薬 を組み合わせて服用する治療法によって、エイズ の発症を遅らせることができるようになってきま した。
 デンマークでの調査によると、25歳でHIV感 染がわかった場合の平均余命は、有効な治療法が なかった1996年には6〜7年でしたが、現在 は約40年であると報告されています。健康な同年代 の人の平均余命は約50年とされるため、HIV感 染者と健康な人との平均余命の差が約10年にまで 縮まったことが示されました。
 また以前は薬の量が多く水を大量に飲む必要があったのですが 現在では、1日1回数錠の服用で済む など、服用の負担は大幅に軽減され、治療効果も 高まっています。
 このように現在は、治療を受けながら何十年間 も普通の生活を送り、健康な人の平均余命近くま で生きることも可能です。将来的にはより効果的 な薬や服用しやすい薬が開発され、今後、健康な 人の平均余命との差は、さらに短縮されると期待 されています。

■ 予防の大切さ
 治療法が進歩した現在でも、 HIV感染症・エイズの治療に は、身体的にも精神的にも、ま た経済的にも大きな負担が伴い ます。そのため、予防が重要で あることは、今も変わりありま せん。パートナーをよく知り、 性交渉の際にはコンドームをき ちんと使用して、HIV感染を 予防してください。
 HIV感染症/エイズは国が医療費を援助する更生医療給付の対象になっており、保険診療での自己負担分の医療費が軽減されます。国の負担を含めた総額の医療費は、一人のHIV(エイズウイルス)感染者が生存し続けるのに、1億円かかるとも言われています。医療費の問題は国としても大問題です。

■ どこで治療を受けるか
  HIV感染症・エイズの治療 は、主に「ブロック拠点病院」 「中核拠点病院」「拠点病院」で 行われています。ブロック拠点 病院は、全国に14か所あり、臨床研究、研修、情報提 供を行っています。都道府県の 中核拠点病院(原則として各都 道府県に1か所)、全国300か所 以上の拠点病院は、ブロック拠 点病院と連携して診療を行って います。

■ 治療開始の時期
 HIVに感染すると、「CD4陽性細胞」と呼ば れる免疫細胞が徐々に破壊されます。CD4陽性 細胞は、健康な人では、血液1μLあたり約100 0個あります。HIVに感染して、この数が200個 以下に減少すると、免疫の働きが低下し、さまざ まな感染症が起こりやすくなり、エイズ発症の危 険性が高まります。そのため、200個以下にならな いようにするのが治療の目標となります。
 また、CD4陽性細胞の数が350個以上であれば、 エイズを発症することはほとんどありません。
 そこで、治療開始の時期は、この細胞の数を指 標に決められます。定期的に検査を受けながら経 過を観察し、350個に近づくまで減少した段階で準 備を始め、350個を下回ったら治療を開始します。

■ どんな薬があるか
 現在日本では、約20種類の治療薬(抗HIV薬) があります。これらは、HIVが増殖する過程の どの段階で作用するかによって、次のタイプに分 けられます。
1.逆転写酵素阻害薬……増殖の初期には、HIVの 遺伝情報が、逆転写酵素によって複写(逆転写)さ れます。この薬は、逆転写酵素の働きを抑えます。
2.インテグラーゼ阻害薬……増殖の中期、逆転写 酵素が働いた次の段階で、HIVの遺伝情報はイ ンテグラーゼという酵素によって、CD4陽性細 胞のDNAに組み込まれます。この薬は、インテ グラーゼの働きを抑えます。
3.プロテアーゼ阻害薬……増殖の後期の段階で は、HIVの遺伝情報を基につくられたたんぱく 質が、プロテアーゼという酵素によって小さく切 断され、新しいHIVの材料となります。この薬 は、プロテアーゼの働きを抑えます。  これらのタイプから複数の薬を選び、それらを 組み合わせた治療が行われます(多剤併用療法)。 今のところ、治療によってHIVを体内から完全 に排除することは困難で、治療を開始したら、HIVの増殖を抑えるために薬の服用を一生続ける 必要があります。

■ 薬をどう組み合わせるか
 薬の組み合わせ方は、患者さんの状態に合わせ、 医師と患者さんが話し合って決めます。薬を選ぶ 際のポイントは、次の3つです。

1.抗ウイルス作用の強さ……単独の薬の強さだけ. ではなく、組み合わせたときに作用が強くなるよ うに選びます。
2.服用の継続しやすさ……抗HIV薬の場合、き ちんと服用を継続しないと、薬の効かない「耐性 ウイルス」が出現しやすいという問題点がありま す。そのため、例えば1日にとる食事の回数や夜 勤の有無など、患者さんのライフスタイルに合わ せて、服用を継続しやすい薬を選びます。
3.副作用……抗HIV薬の長期服用によって、 「肝障害」などの副作用が起こりやすいことが知 られています。また、薬の種類によっては、コレ ステロールや中性脂肪が増加する「脂質異常症」、 心筋梗塞などの「心血管障害」などの副作用が起 こることがあります。そこで、「どの薬でどのよ うな副作用が起こりやすいか」を考慮して薬を選 ぶことが重要です。最近では、薬によっては、例 えば白血球の血液型(HLA)のタイプによって 副作用が起こりやすいことなどもわかってきてお り、体質に合わせて薬が選ばれることもあります。
 数種類の薬を服薬しますが、それぞれの薬剤により、血液・代謝・精神・神経・胃腸・皮膚などに副作用が出る場合があります。いずれの薬の組み合わせでも、 40%前後で副作用が出るというデータがあります。患者の臨床症状なども考慮して薬剤は選ばれます。
 副作用が起きて、服用の継続が難しくなった場 合は、薬の種類を変更して、服用を継続します。 1つの薬に耐性ウイルスが出現した場合は、同じ タイプのほかの薬も効きにくくなるため、違うタ イプの薬に変更して、治療を継続していきます。


内科のTOPに戻る
宮崎市の内科、外科、消化器科、リハビリテーション科
〒880-0824 宮崎県宮崎市大島町前田310-1
tel 0985-25-7722 fax 0985-25-7754
http://ocean-clinic.com

クリニック紹介アクセスご挨拶患者様へのお願い健診、人間ドック
内視鏡| リハ診療百談〜内科診療百談〜外科東洋医学サイトマップ
Copyright ©2008 Ocean Clinic All Right Reserved.