宮崎市の内科、外科、消化器科、リハビリテーション科  <<院長の手作りホームページです>>
〒880-0824 宮崎県宮崎市大島町前田310-1 Tel.0985-25-7722 Fax.0985-25-7754 http://ocean-clinic.com
オーシャンクリニック紹介
地図:下北通線と大島通線の交差点
ご挨拶(院長・看護主任・事務主任)
保険証と診察について患者様へのお願い
各種健康診断、人間ドックの案内
内視鏡、消化器科の病気・診療について院長執筆カラム
リハビリテーション
内科系の病気・診療について院長執筆カラム
外科系の病気・診療について院長執筆カラム
東洋医学(鍼灸・漢方)について院長執筆レクチャー
オーシャンクリニック
HOME内視鏡> 13.機能性胃腸症
内視鏡05.アニサキス症
43歳の男性。 おとといサバの刺身を食べた。きのうから胃が痛い。空腹時が痛く、食べるとよくなるとのこと。 胃カメラにてアニサキスを除去。
画面左下の再生ボタンを押すと再生が開始します。 1分34秒の無声動画。
 「サバに当たった」話は良く聞きますが 刺身による寄生虫被害の多くはこのアニサキスが原因です。アニサキス症の症状は、食後数時間のうちに始まる激しい腹痛と嘔吐である。嘔吐に際しての吐寫物は胃液のみで、下痢も一切認められないことが一般的な食中毒と異なる特徴でもある。症状がでる数時間前にアニサキスの幼虫で汚染されたサバ・アジ・スケトウダラ・ニシン・イカなどの内臓や筋肉を生で(要するに刺身)食べた既往があればアニサキスが疑わしい。
 元来イルカやクジラの消化管に寄生する寄生虫で、クジラにとっては、人間の回虫に相当します。幼虫がヒトの消化管に入っても成虫に成長することはできません。産卵もされない。イルカやクジラはアニサキスの虫卵を便と共に排泄し、これを魚が食べ、魚の体内では虫卵が孵化して幼虫になり、幼虫を持った魚をイルカやクジラが食べるといったサイクルになっています。ところが、本来イルカ・クジラの餌である魚を人間が横取りして、しかも生でアニサキス幼虫とともに食べてしまうことによって起こる病気が「消化管アニサキス症」です。 アニサキスの幼虫は直径0.5ミリで長さ20ミリ程度です。頭部に歯がついていてヒトの消化管に入ると生息できないので苦し紛れに胃壁や小腸壁の粘膜に突き刺さるようにしてもぐりこみます。運が悪いと薄い小腸壁を破ってしまうこともあります。

 症状と既往からアニサキス症が疑われる場合は、まず腹部超音波検査を行います。超音波検査で胃の壁の一部が腫れ上がっていたり、小腸の一部が腫れて腸閉塞の状態が見られれば、とても疑わしい。
(写真)当院のこの患者さんも腹部超音波で限局性の胃粘膜肥厚が認められました。

 治療を兼ねて胃内視鏡(いわゆる胃カメラ)を行います。早ければ早い程、虫体を確認しやすく、生検にもちいるのと同じ鉗子を用いて虫体を摘んで取り除く。虫体を取り除くとすみやかに症状が消失します。絶食での検査が望ましいけれど疑わしい場合は吐物の誤嚥に十分注意しながら内視鏡します。1匹とは限りませんので胃内全体を十分丁寧に観察します。当然胃がんなどが併存していることもあるので検査が虫体摘出のみに終わったときは胃の観察が不十分であることを患者さんにつげるべき。小腸に侵入したものを診断するのはなかなか困難です。腸閉塞状態になっているのでカプセル型の内視鏡でも難しいかもしれません。

 魚類などの中間宿主の体内では、魚が生きているうちは魚の腸の中にいますが、魚が死ぬとやがて自分で腸から肉の方に移動してきますので、内臓をよけて食べれば感染しないということはない。魚を活き作りしたり、逆にうんと古くなって腐りかけたような魚の肉には生きたアニサキスはいない可能性が高い。
 生魚を酢・塩・味噌・醤油・酒・ワイン・オリーブ油・香辛料などで調理したくらいではアニサキス幼虫を殺すことはできません。加熱が最も有効な方法ですが、表面の加熱では不十分で中心部まで火を通す必要があります。
 魚を強く冷凍(マイナス50℃以下・24時間以上)すると死滅しますが、家庭の冷凍庫はマイナス20度までの場合が多いので、必ずしも絶対大丈夫とはいえません。

厚生労働省の記事によると、日本におけるアニサキス症の発生数は、1年間に少なくとも2,000〜3,000名以上と推定する報告「日本におけるAnisakidosisの発生状況の解析(石倉肇、臨床と研究、72巻5号、1995)」もある。

● アニサキスアレルギー
 胃痛に伴い全身性の激しいじんましんを起こすことがあります。  ヒトにヒトの回虫が寄生した場合、何十匹居ても症状がないことが多いのに、ちいさなアニサキス幼虫が1〜2匹胃壁に取り付いただけにしてはアレルギーを起こすのは、幼虫の虫体から分泌される体液がアレルギーを起こしやすいためといわれています。  本アレルギーの原因物質は、冷凍または加熱をしても残存するので、魚介類加工品を摂取した時も症状が現れる場合があります。イカ、サバ、ハマチ等を摂取した際、発疹及びじんま疹等のアレルギー症状を示すが、検査において魚介類では陽性反応を示さない場合、アニサキスによるアレルギーが原因の場合があります。
● イカによる症例
宮崎でもときどきみかけるがイカによる症例の経験がない。 ほとんどアジ・サバ・カツオだ。 東北・北海道ではイカがもっとも多いらしい。 中間宿主は、アニサキスの種類ごとに異なっているらしいので クジラと魚の生息環境が東日本とは違うのかなどと思っている。
● 食品衛生法での取り扱い
 1999年12月28日に食品衛生法施行規則の一部改正(厚生省令第105号)が行われ、食中毒事件票の一部が改正された。これに伴ってアニサキスも食中毒原因物質として具体的に例示された。従って、アニサキスによる食中毒が疑われる場合は、24時間以内に最寄りの保健所に届け出ることが必要である。


内視鏡のTOPに戻る


宮崎市の内科、外科、消化器科、リハビリテーション科
〒880-0824 宮崎県宮崎市大島町前田310-1
tel 0985-25-7722 fax 0985-25-7754
http://ocean-clinic.com

クリニック紹介アクセスご挨拶患者様へのお願い健診、人間ドック
内視鏡| リハ診療百談〜内科診療百談〜外科東洋医学サイトマップ
Copyright ©2008 Ocean Clinic All Right Reserved.