- 概要
胆石膵炎(gallstone pancreatitis)とは、胆石(胆のう内の結石)が総胆管に詰まり、膵管と共通の出口である十二指腸乳頭部を塞ぐことで、膵液の流れが障害され、膵臓に炎症が起きる病態です。急性膵炎の原因としては最も頻度が高く、全急性膵炎の約30〜50%を占めます。
- 原因と発症のメカニズム
- 胆石の移動
- 胆のうから総胆管へ移動した石が、膵管との合流部付近(ファーター乳頭)を閉塞。
- 膵液の流れの障害
- 膵酵素が膵臓内で活性化し、自分の膵臓を消化してしまう「自己消化」が起こる。
- 炎症反応の拡大
- 局所の浮腫や壊死、重症例では全身性炎症反応症候群(SIRS)や多臓器不全に至る。
- 症状
- 上腹部から背部への激しい痛み
- 吐き気・嘔吐
- 発熱
- 黄疸(総胆管閉塞を伴う場合)
- 重症例では血圧低下、呼吸不全などの全身症状
- 診断
- 血液検査
- アミラーゼ・リパーゼ上昇
- 白血球増加、CRP上昇
- 肝胆道系酵素上昇(ALP, γ-GTP, AST, ALT)、ビリルビン上昇
- 画像検査
- 腹部超音波(US):胆石、総胆管拡張
- CT:膵臓の腫大、周囲脂肪組織の炎症
- MRCPやEUS:小さな結石や泥状結石の確認
- 治療
- 急性膵炎の基本治療
- 絶食・補液(大量輸液で循環維持)
- 鎮痛(NSAIDsやオピオイド)>
- 感染合併時は抗菌薬投与
- 胆道閉塞の解除
- 胆管結石が残存している場合はERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)+乳頭切開+採石を発症早期(できれば24〜48時間以内)に実施
- 再発予防
- 原則として急性期炎症が落ち着いたら胆のう摘出術(腹腔鏡下)を行う
- 合併症
- 膵壊死・膵膿瘍
- 仮性膵嚢胞
- 敗血症
- 多臓器不全(腎不全、呼吸不全など)
- 予後
- 軽症例では予後良好だが、重症例(壊死性膵炎や多臓器不全)では致死率が10%以上になることもある。
- 早期診断と胆道ドレナージのタイミングが予後を大きく左右する。
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