原発性胆汁性肝硬変(Primary Biliary Cholangitis, PBC)は、自己免疫機序によって肝内の小さな胆管が徐々に破壊され、胆汁の流れが滞る(胆汁うっ滞)ことで肝障害が進行し、最終的には肝硬変に至る慢性進行性の肝疾患です。
近年は「肝硬変」という言葉の持つ末期イメージを避けるため、名称は 原発性胆汁性肝硬変 → 原発性胆汁性胆管炎 と呼ばれることが多くなっています。
- 原因・病態
- 自己免疫反応によって肝内小胆管の上皮細胞が破壊される
- 胆汁の排泄障害(胆汁うっ滞) → 肝細胞障害 → 線維化 → 肝硬変
- 関連する因子:
- 遺伝的素因(HLAとの関連)
- 環境因子(感染、喫煙などが関与の可能性)
- 好発
- 発症年齢:40〜60歳代
- 性別:女性が約90%
- 発症はゆっくり進行し、初期は無症状のことも多い
- 主な症状
- 初期症状
- 倦怠感
- 皮膚のかゆみ(夜間悪化、手足や背中に多い)
- 眼・口の乾燥(シェーグレン症候群の合併あり)
- 進行期
- 黄疸
- 色の薄い便・濃い尿
- 皮膚色素沈着
- 脾腫・腹水
- 脂肪吸収障害による下痢・脂肪便
- 骨粗鬆症
- 合併しやすい自己免疫疾患
- シェーグレン症候群
- 橋本病
- 関節リウマチ
- 全身性強皮症 など
- 検査・診断
- 血液検査
- 抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性(95%で陽性)
- ALP(アルカリフォスファターゼ)上昇
- γ-GTP上昇
- 総ビリルビンは進行期に上昇
- IgM高値
- 画像検査
- 腹部エコー・CT:他の胆道閉塞の原因(結石や腫瘍)を除外
- MRCP(MR胆管膵管造影)で胆管の形態を確認
- 肝生検
- 診断基準
以下のうち2項目以上で診断
- ALP上昇など胆汁うっ滞型肝障害
- AMA陽性
- 肝組織で非化膿性破壊性胆管炎を認める
- 治療
- 第一選択薬:ウルソデオキシコール酸(UDCA)
- UDCA無効例:ベザフィブラートやオベチコール酸(OCA)
- かゆみ対策:
- 骨粗鬆症予防:ビタミンD、カルシウム
- 進行例・肝不全:肝移植適応
- 予後
- UDCA導入後、発症からの予後は大きく改善
- 無治療では10〜15年で肝硬変に至ることも
- 肝移植後の成績も良好
|